らぴゅ海賊日誌

• 11/15/14:53

 Rapyu暦1690年・・ポルトガル首都リスボンを臨めるカナリア沖にて、海賊同士の抗争が勃発

ラスパルマスを中心とし、各国の精鋭海賊たちが無差別蜂起した。

辺境の町から駆けつけた海軍、海賊狩りがカナリア沖を巡回する中、とうとうラスパルマスから海戦の口火を切るかの如く、装甲戦列に乗り込んだ海賊が出航した・・。

　時を同じくして、カナリア沖南方に位置する村、アルギン。一隻のガレアス船が出港した。

　はためくメインマストに掲げられたドス黒い帆に描かれたガネーシャの紋章

　妖艶のカリスマ・容姿端麗な海の悪魔・のどごしGOO!キリン生・インドの暴れ象・・その全ての渾名を欲しいままにする海賊・Rpayu♪の軍船だ。

　『今世紀の代表になってもおかしくない偉大なる奇跡の船長らぴゅ様・・』
　船員の1人が恭しく頭を垂れながら、船長室のふっかふかのマッサージ椅子に沈むRapyuの前に跪いた。

　『よく聞こえないぱお。誰を呼んでおるのぱお。』
　『・・・』
　船員のこめかみに青いナニカが一瞬浮かんだが、すぐに消えた。
　『誰もが認める絶世の美女にして、妖艶なオーラで身を包んだスーパーな海賊女帝Rapyu様！』

　『何の用ぱお。わかりきったことを何度も申すんじゃないぱお。さっさと用件を言わぬか。ぱおーっぽっぽ♪』

　船員のこめかみがパンｯと小さな破裂音を立てた。

　『船長！ふざけないでください！こっちは大事な話があるんですよ！』

　船員が声を荒げてRapyuに詰め寄る。Rapyuは指を耳に突っ込んで聞こえないフリをしている。

　『聞こえないぱおーもっと大きな声で言ってぱおー』

　今度は、船員の額の青いナニカが破裂した。勢いよく立ち上がるとRapyuの肩を両手で強く掴み、前後に思い切り揺らした。

　『いいですか！この船の現状ですが！相当痛んでます！損傷が激しすぎです！修理とかの域じゃありません！具体的な数値で表すと500です！具体的な言葉で耐久底です！Do you understand!? Ahan!?』

　『おまけに！』
　船員の怒号はまだ続いた。

　『船長の悪名、この頃ウナギ昇りで海軍政府から賞金賭けられてるのですよ！帆も壊れかけ！装甲も剥がれかけ！特殊兵装も昇天しかけ！だからあれほど物資の買いだめをしておくようにって言ったじゃないですか！』

　Rapyuはそっぽを向いてふて腐れている。口を尖らせてブツブツ言っている。
　『そんなの・・奪ったお金や海賊刈った賞金とかでなんとかすればいいぱお・・』

　船員の目が吊り上った。目にも止まらぬ神速で、Rapyuの腰から下げてるポーチから預金通帳を奪い取った。

　『そう仰るのなら！これはなんですかーー！』
　吠えた船員が通帳の最後のページを見開いた。


　7800000＄

　『あれ？』
　Rapyuの顔が曇る。じっとりと通帳の数字を睨んでいる。
　『これおかしいぱお。０が一桁少ないぱお♪』
　
　『・・船長、ぢぁあ、その上のに書かれている引き出し額60000000＄ってなんですか？』
　『らぴゅわかんない・・』

　あぁ・・と、船員は額に手を当てながら天を仰いだ。どうして、この人はこうも、信じられないくらいに金使いが荒いのだろう。あの日、リスボンの役人で大金を払って密入国した日、久々の首都上陸に興奮した船長が何を買ったのかを、船員は知っていた。

　孔雀のドレス。バタデコーラ黒。バネヒモ戦士の盾。ウェディングドレス２着。カリビアンドレス各色。ツタンカーメンの仮面・・その他多数。全て洋服や装飾品の類・・。

　『そうですか・・お分かりになりませんか？じゃあ、これらは全て間違って購入されたと・・？』

　目の前に広げられた生唾もののお宝をちらちら見るものの、Rapyuは買ったのは自分ではないと否定した。

　『そんなの知らないぱお～。謎が解けるまでちゃんと元通り金庫にしまっておいてぱお♪』

　ここぞとばかりに船員の目が妖しく光った。

　『残念ながら、それはなりません。得体の知れないこれらの品々は、全て・・返品させて頂きます。』
　Rapyuの顔が曇天になる。構わず船員は続けた。
　『確か、これらが【いつの間にか】船の金庫にしまわれていたのは4日前。おそらく、この船の【誰かが】購入したのでしょう。であれば・・まだクーリングオフが使えますね。』

　『そんな馬鹿なぱお！その制度は300年以上後に制度化するはず！まさか・・オーバーテクノロジーを使うとでもい（ｒｙ』

　『・・・単語の意味、使い方間違ってますよ・・。ま。それはいいとして、さっそく返品作業に取り掛かりましょうかね。』

　『いやぁああ！待ってぱお～待ってぱおおお！現状の体勢を立て直す資金はすぐできるぱおおお』
　顔を真っ赤にしながら訴えるRapyuを船員が露骨な疑いの目で見る。
　『サルベージとかしませんよ！かといって交易なんて余裕もありませんが・・どうするつもりですか？』
　くくく・・Rapyuの不敵な笑みが聞こえる。
　『お前たち、この海がなんという海か、忘れたのぱお？♪』

　『ここはっ』

　『カナリアぱおーーーーーーーぱお～おん♪商船は頻繁に通るし、闇金業者もわんさかぱお♪なんといっても、目玉は賞金首ぱお♪これで一攫千金ぱお♪』

　船員がため息をついてRapyuをじっとりと見た。
　『一攫千金ですか・・まぁ確かに、今まで船長に狩られた首も資産を築くには十分すぎる程でしたが・・』

　『大丈夫ぱお♪わたしについてくるぱお♪ぱおーっぽっぽっぽ♪』
　


　その後、Rapyuは数日に渡って敵対勢力と壮絶な戦いを繰り広げることになるのだった・・。
　
　
　　

• 09/17/07:11
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