らぴゅ海賊日誌
らぴゅの海賊日誌
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‘‘削ぎ船‘‘
マルク諸島南部に位置するアンボン島、アンボン湾内にある、小さな港町アンボイナ。モルッカ諸島やバンダ諸島など、香料名産地の中継港として発展している。市場には豊かな香辛料が並び、富と名声を求めて、商人や冒険家でごったがえしていた。
島の輪郭に沿って造られた港は、多くの船籍の入港を可能にしているため、アンボイナの周囲は大小様々な船で埋め尽くされている。その殆どはガレオン船で、欧米からの国家船だ。メインマスト頂部には国家旗が掲げられ、各々の国印がはためいている。レコンキスタの再征服運動から生まれたポルトガルやスペイン。香料貿易の独裁国ヴェネチア・・どの国も勢力を伸ばしつつある強国だ。 島の西側、港の近くには酒場がある。長旅の疲れを癒すために航海者たちがラム酒に溺れる場所。その隅で、木製の丸テーブルに突っ伏している女が一人。 船乗りが着る簡素なシャツに、革製の丈夫な綾織パンツをはいているが、一体何があったのか、ひどく汚れてボロボロになっている。女の足元には脱ぎ捨てられた小さな鉄製の甲冑が転がっている。細い鉄板の留め金と革紐で固定されただけの甲冑で、女性にも着れるように軽量化されてある。 女の様子をバーのカウンターから眺めていたマスターが溜息をついた。丹念に水気を拭き取ったグラスを食器棚に戻しながら小さく首を振る。 『マスター、どうしたんだ?元気ないじゃないか。』 カウンターに座っている船乗りの男がマスターに声をかけた。 『なんでもありませんよ。あの女性が少し可哀想に思えてね。』 男は首を回して後ろを見る。明らかに浮いている女を見つけると、ああ、と呟いた。 『``削ぎ船``の女だろ?えらい目にあったよなぁ。同じ船乗りとして同情するよ。』 次のグラスを手に取り、水気を拭き取る作業をしているマスターの手が止まった。もう一度、女を見た。 『あの人が・・ですか?生き残りがいたなんて知りませんでしたが・・』 『そりゃそうさ。俺もたった今知ったんだからよ。女の足元に甲冑が転がってるだろ?胸の部分についてる紋章を見て分かったのさ。』 男はグラスを飲み干すと、席を立った。腰から下げている硬貨袋から酒代を出し、グラスの脇に置いた。 『あの船、まだ解体されてねぇよな。船体を見てきたら分かるぜ。』 大きく伸びをしながら、男の船乗りは酒場の開きドアに手をかけた。後ろを向いたまま、マスターに言った。 『マスター。関わらない方がいいぜ?あんたの顔、好奇心丸出しだ。』 男はそう言うと、笑いながら外の喧騒へと消えていった。 マスターはぽかん、としていたが、小さく笑みを作ると、グラスを食器に戻した。 続くkamo PR
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こんばんはー^^
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半分創作、半分本物の物語になる予定ぱお♪ |
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