らぴゅ海賊日誌
らぴゅの海賊日誌
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Death.Merchant トン・ヌラクン
『ほら、あとコンパス。これがないと、ほんと不便なんだから。』
セシルは懐中式のコンパスをマサールに手渡した。額に見事なコブを作ったマサールが、ベソをかきながら2つの布袋に荷物をしまっている。 『なにも・・なにもオールで殴ることはないのに・・』 セシルがマサールをじっとりとした目で睨む。オールで頭を殴られてるのに、コブですんでいる方が異常だ。 袋に荷物を詰め込むマサールの手がふと止まった。上目遣いでセシルを見る。 『ほんとにいくの?船にいた方が安全だと思うんだけど・・。』 『それはダメ。ずっとここにいてどうするつもり?たとえこの難破した船の近くを、偶然救助船が通りかかったとしても、私たちには意味がないわ。』 セシルは一息つくと布袋を持ち上げ、肩にかけた。夜までに、少しでも多く情報を集めるのがセシルの目的だ。せめて、島の大きさくらい分かれば、後は海図を見て流された島の大体の見当をつけることができるからだ。 船の欄干をまたぎ、縄梯子に足をかけると、セシルは袋を落とさないように慎重に下へ降りていった。 『マサール、気をつけて降りてよ。銃を海水で濡らさないようにね。』 『わかってるよ・・できれば使うことがなければいいけど・・。』 2人の背中には、真鍮製の長い銃身を持つ英国製ベーカーライフルが固定されている。単発しか撃てないが、溝に彫られた銃身が弾丸に回転を生み、飛距離は300m近くにもなる。 セシルの腰には、革製のベルトに挟まれたフリントロック式ラッパ銃がぶらさがっている。至近距離での攻防を目的に作られたこの銃は、銃弾を散乱させることができる。 マサールの銃はベーカーライフルのみだ。だが腰のベルトには、柄に美しい装飾が刻まれた鋭い短剣、ペッシュ・カブズが差し込まれている。短剣であるにも関わらず、敵の鎧をも貫通させることができる恐ろしい短剣だ。生身の人間だと、やすやすとその体を貫かれるだろう。 2人は小船に乗り移ると、浜辺へ向かってオールを漕ぎ始めた。 オールを漕ぎながらマサールがセシルに尋ねる。「島に誰かいたりするかもよ」。セシルは笑って答える。「そうねぇ。凶悪犯罪者がいたりして♪」 のどかな笑い声が小船から湧き出ている。2人はまだ知らない。この島の秘密を・・。 Death.Merchant トン・ヌラクン 其のⅡは深夜4時頃UP予定。 PR
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